暮らし
自宅や宿にサウナを作る前に知っておきたい7つのポイント
自宅にサウナを作りたい、宿泊施設にサウナを新設したい方へ。
天井の高さ、座面の奥行き、熱源、断熱と換気、水風呂、整いスペース、建築確認まで、作ってから後悔しやすい点をまとめました。
窓から外の景色を眺められる作りです。
「自宅の敷地にサウナ小屋を建てたい」「宿にサウナを作れば、お客さんが増えるのでは」。
そうしたご相談が増えています。
この記事は、当社の吉田が書いています。
サウナ・スパ健康アドバイザーと甲種防火管理者の資格を持ち、ガス会社の経営にも携わっています。
サウナが好きな者として、火と熱を扱う設備を見てきた者として、作る前に知っておいてほしい点をお伝えします。
サウナは、作ってから直すのが難しい設備です。
天井の高さも、断熱も、電気の容量も、あとから変えると大がかりな工事になります。計画の段階で決めておくことが、いちばん大切です。
1. 天井は「ドアの高さ」くらいまで低く
座面を2段以上にする場合を除き、天井の高さは、サウナ室の入口のドアと同じくらいにするのがおすすめです。
熱い空気は上に溜まります。
天井が高すぎると、熱気がすべて天井付近に集まり、座っている高さより下が冷たいままになります。
頭はのぼせるのに足元は寒い、というサウナになってしまいます。
天井は低めにして、サウナ室の体積を小さくする。 そのほうが早く温まり、熱むらも少なくなります。
開放感を出したくて天井を高くするのは、サウナでは逆効果です。
もうひとつ、熱源機の真上には、金属の板を吊っておきます。
熱源機から上がる熱が天井に直接当たらないようにして、熱を横へ流すためです。
熱が一点に集まらず、室内に回りやすくなります。
天井の板が熱で傷むのを防ぐことにもつながります。
2. 座面の奥行きは90センチあると快適
座面の奥行きは、できれば90センチほしいところです。
椅子の上であぐらをかけるくらいの広さがあると、ゆったり座れます。
プライベートサウナなら、寝転がれるくらいのスペースを作るのもおすすめです。
公共の施設では寝転ぶことはできません。
横になって熱を浴びられるのは、自分だけのサウナならではの楽しみです。
3. 熱源は「薪・ガス・電気」。
おすすめは電気
サウナの熱源機には、大きく分けて3つの種類があります。
| 熱源 | 特徴 |
|---|---|
| 薪 | 雰囲気は抜群。 ただし火の番、薪の用意、灰の片付けが必要で、煙突や周りの防火にも気をつかう |
| ガス | 立ち上がりが早く、燃料の補充の手間が少ない。 ガス設備の工事と点検が必要 |
| 電気 | 温度の管理がしやすく、日々の手入れがいちばん楽 |
私はガス会社も経営していますので、立場としては熱源にガスをお勧めしたいところです。
ですが、その立場をいったん降りて、一介のプロサウナーとしてお勧めしたいのは、電気式の熱源機です。
スイッチで入り、温度を一定に保ちやすく、管理の手間が少ないからです。
ガス式が向いているのは、大規模な温泉施設など、大勢の人が一度に入る大きなサウナです。
ガスの高い火力で、広い空間をしっかり温めることができるからです。
自宅や宿の小さなサウナなら、電気で十分に温まります。
ただし、電気式の熱源機は大きな電流を使います。家の今の契約や配線では足りず、電柱から専用の回線を引き込む特殊な電気工事が必要になることもあります。 熱源機を選ぶ前に、電気工事店に「どの機種なら、どんな工事で使えるか」を必ず相談してください。
本体の価格より工事費のほうがかかった、ということもあります。
薪やガスを選ぶ場合は、火を使う設備になるので、消防への届け出や、周りの壁・床との距離などの決まりにも気をつける必要があります。
設置する場所の消防署に、事前に確認しておくと安心です。
どの熱源でも、熱源機をサウナ室の壁の近くに置く場合は、その壁を石材などの燃えにくい材料(耐火材)で作ります。
木の壁のまま熱源機を寄せると、熱で焦げたり、火事の原因になったりします。
熱源機の取扱説明書にある「壁からの距離」も必ず守ってください。
4. 断熱と換気は、見えないけれど温まり方を大きく左右する
断熱がしっかりしていないと、サウナ室は温まりにくく、冷めやすくなります。
熱源機の力が足りないのではなく、熱が壁から逃げているだけ、ということはよくあります。
壁・天井・床の断熱は、手を抜かずに入れてください。
そのうえで、通気のためのガラリ(通気口)を、足元と天井付近の2か所に必ず作ります。 温まった空気が上から抜け、新しい空気が足元から入ってくる。
熱で自然に空気が入れ替わる状態を作ることで、息苦しくない、気持ちのよいサウナになります。
断熱で熱を閉じ込めることと、換気で空気を入れ替えることは、両方そろって初めて意味があります。
5. 水風呂は絶対に必要
宿泊施設にサウナを新設するとき、流行に乗って「サウナだけ作ればいい」と考える方もいます。
ですが、サウナの満足度を決めるのは、むしろ水風呂です。
熱いサウナのあとに、しっかり冷たい水に入れるかどうか。
ここが弱いと、サウナ好きのお客さんほどがっかりします。
できれば、チラー(水温を低く保つ設備)の導入を考えてください。
夏場の水道水はぬるく、そのままでは水風呂として物足りません。
ただ、チラーは本体の価格も設置の工事も安くはなく、水風呂の大きさや目標の水温によって費用が大きく変わります。
計画の早い段階で、見積もりを取って調べておくことが大切です。
6. いちばん大切なのは「整いスペース」
水風呂よりさらに大切なのが、外気浴をする「整いスペース」です。
サウナに入るのは、整うため。
そう考えると、大切さの順番は サウナ < 水風呂 < 整いスペース になります。
サウナ室にお金をかけて、休憩する場所がプラスチックの椅子ひとつ、というのはもったいない作り方です。
できれば、インフィニティチェア(コールマンの公式サイト)のように、ゆったりと体を倒して横になれる椅子を置きたいところです。
ただし、ひとつ注意があります。
インフィニティチェアは屋外で使える作りにはなっていますが、いつも水がかかる場所に置くことを前提には作られていません。 水風呂のそばで濡れた体のまま使い続けると、早く傷みます。
置く場所に屋根をかける、水はけをよくする、ほかのタイプの整い用の椅子も比べてみるなど、長く使える形を考えておきましょう。
目隠しの塀、足元の滑りにくさ、夜の照明、虫よけも、整いスペースの居心地を左右します。
7. サウナ小屋を建てるなら「10㎡以内」も考える
庭や敷地にサウナ棟を別に建てる場合は、広さにも気をつけてください。
建物を建てるときは、原則として「建築確認」という申請が必要です。
図面を用意して審査を受けるので、設計の費用と時間がかかります。
ただし、次の条件にすべてあてはまれば、この申請がいりません(建築基準法6条2項)。
- 防火地域・準防火地域の外であること
- すでに家が建っている敷地に建てる(増築にあたる)こと
- 増やす床面積が10㎡以内であること
そこで、サウナ棟を9.9㎡で作るのもひとつのコツです。
10㎡を少しでも超えると申請が必要になるので、ぎりぎりを狙うなら余裕を持たせておきます。
気をつけたいことが3つあります。
- 何も建っていない土地に新しく建てる場合は、10㎡以内でも建築確認の申請が必要です(建てる前に、計画が建築基準法に合っているかを市や審査機関に確かめてもらう手続きです)
- 申請がいらなくても、建築基準法やほかの決まりを守らなくてよいわけではありません。
サウナの設備には、市町村の火災予防条例の決まりもかかります。
燃えやすいものから離す距離、薪の熱源機なら煙突の作り、設置する前の消防署への届け出などです - 市街化調整区域や農地では、そもそも建てられないことがあります
条件にあてはまるかどうかは、土地によって違います。建てる前に、市の建築の窓口か当社にご相談ください。
作る順番でおさらい
- 天井は低めに、ドアの高さくらいまで
- 座面の奥行きは90センチ。
プライベートなら寝転べる広さも - 熱源は電気がおすすめ。
ただし電気工事の相談が先 - 断熱をしっかり入れ、足元と天井付近に通気口を
- 水風呂は必須。
チラーの費用は早めに調べる - 整いスペースに一番こだわる。
椅子は水かかりに注意 - 別棟で建てるなら、9.9㎡にすると建築確認がいらない場合がある
当社では、サウナの導入についてのご相談もお受けしています。
自宅の敷地のどこに建てられるか、空き家や古い建物をサウナ付きの宿にできるか、といった不動産の面からのご相談も一緒に承ります。
作り始める前にご相談いただくほうが、お役に立てます。
このコラムは2026年9月24日に書きました。
制度や金額は変わることがあります。
本文中の「※〇年〇月〇日時点」もあわせてご確認ください。
ご相談は無料です
サウナの新設・導入のご相談も承ります。
自宅や宿のどこに作れるか、熱源機・水風呂・整いスペースをどう組み合わせるか、リフォーム業者のご紹介や計画の段階からお手伝いします。
まだ作るかどうか決まっていなくても構いません。
お気軽にご相談ください。